2026/03/02 20:00
久しぶりにブログを再開してみたいと思います。
お時間ある時の暇つぶしにどうぞご一読くださいませ。
まずはeir supima cotton.エイルスーピマについて
この糸は<the bes>というブランドを立ち上げたときから使用している糸になります。
簡単に言えばとっても柔らかく風合いの良いスーピマコットンの糸です。
スーピマコットンとはアメリカ産超長綿です。
超長綿の代表格ですね。
光沢があり、柔らかくもありながらタフで強度のある綿繊維です。
僕はスーピマが一番好きかもしれません。
ではなぜ柔らかく風合いが良いのか。
これに関してはそれなりに色々と書き連ねているのでお腹一杯の方もいらっしゃると思います。
ただもっと知りたい‼と思ってくださる方もいると信じて書いていこうかと。
僕はあまり比較したり、何かを乏しめて自分を上げる、というのは好まないのですが
今回に関してはあくまで比較対象があった方が分かりやすいと思いますのでそういった書き方をさせていただきます。

ではまず、糸ができるまでというものをざっくりと説明します。
綿花収穫→ジンニング→輸出→混打綿→カーディング→コーミング→スライバーの完成
スライバーを→錬篠→粗紡→精紡→巻き上げ
という順序です。
わけわかりませんね。
なので順を追ってひも解いていきましょう。
綿花の収穫はわかりますね。
これは手摘みか機械かどちらかになります。
イメージ的に手摘みの方がいいような気がするとは思いますが、こればかりは何とも言えないかと思います。
ここに関しては僕も少し勉強します。
ジンニング
これは収穫した綿花をワタと中にある種子に分ける作業をジンニングと呼びます。
ジンニングの方法は主に2つ、機械的に刃を使って分けるか、綿繰り機と呼ばれるローラー状の機械でワタと種子を擦り分けるか、です。
お察しの通り、刃を使う場合は繊維も傷みますし、せっかくの繊維も短くなってしまいます。
対してローラーで分離させる方法ですと繊維もダメージを受けず、そして繊維長も長いまま残ります。
生産性はもちろん刃の方が上なので大量生産には向いています。
エイルスーピマはローラーを使ってジンニングをしております。
※余談ですがキュプラと呼ばれる再生繊維、これは綿由来なんです。
綿花の種子の周りの産毛(コットンリンター)を溶かし精製したものがキュプラになります。
レーヨンは石油由来、テンセルはユーカリ由来ですね。

綿繰り機、ローラージン
そして輸出、ワタってふわふわですよね。
これを輸出するとなるとかなりの体積になります。
なのでこれを圧縮に圧縮を重ねガチガチにします。

輸入されたワタは混打綿(こんだめん)と呼ばれる工程に入ります。
ガッチガチなこのワタをほぐす工程。
刃が回転している所にワタを放り込んでかき混ぜで解し馴染ませる工程です。
エイルスーピマはここでひと工夫しています。
そのひと工夫とは、放置すること。
ワタが自然に膨らんで膨らんで膨らみ切るまで放置。
膨らみ切ってから混打綿の工程に入ることでかき混ぜる時間を大幅に短縮。
それによって繊維の受けるダメージを極力減らし、繊維長を長く保つよう工夫をしています。
糸にはカード糸とコーマ糸があって、これはどれだけ繊維を梳かすかということです。
カーディングのみはカード糸。
カード糸に再度カーディング(コーミング)したものがコーマ糸です。
梳かす回数が多いほど繊維長の短いものや不純物が取り除かれていき、繊維の方向も整うので
きめ細かく光沢があり、質の良い糸に仕上がります。


エイルスーピマ糸は極甘撚りの糸です。
撚りの回数が少なく、柔らかい糸ですね。
甘撚りの糸を作るためには繊維長が短いものでは糸を紡ぐことはできないので、必然的に繊維長が長いものだけを使う必要があります。
繊維長が長いものを揃えて紡ぐため、糸に節(フシ)が少なくしなやかな糸になります。
※また余談です、カーディング等の工程で落ちてしまった短い繊維は比較的繊維長が長いワタと混ぜて再利用しています。
これらはリサイクルコットン、リユースコットンと呼ばれ資材だけではなく衣料品としてもちゃんと流通しています。
その梳かした糸をスライバーと呼ばれる整ったワタの集合体にし、錬篠→粗紡→精紡と経て
糸として完成します。





これらが通常のコットンとエイルスーピマコットンの紡績の違いとなります。
また、ここは企業秘密でどの工程で加工をしているかはお伝え出来ないのですが、エイルスーピマは繊維の段階でとても特殊な加工を施しています。
綿繊維の断面って、化学顕微鏡で除くとソラマメのような形をしているんです。
で、実は内部は空洞になっています。
この空洞部分を「ルーメン」と呼びます。

エイルスーピマコットンは圧縮梱包等で潰れてしまったこの「ルーメン」を特殊なトリートメントを施すことで復元しています。
ルーメン、空洞部分が復元されたことで綿繊維は本来の保温性、吸湿性をしっかりと取り戻すことができる。
これがエイルスーピマコットンの秘密です。
まとめると紡績時に繊維の受けるダメージを極力軽減しているため繊維長が長く残り、しなやかで光沢がある。
「ルーメン」を特殊トリートメントで復元ているため、綿本来の高い保温性、吸湿性がある。
こんな感じです。
僕も繊維業界に入って20年弱ですが、綿100%でここまでしなやかで柔らかく光沢のある糸というのは見たことありません。
この糸を用い、編み機、染色レシピを選定することでもっちもちでトロトロな生地が生まれます。
その生地を使用し、とても価値のある製品に生まれておりますので一度ぜひお試しくださいませ。
長い文章ですが読んで下さった方々、誠にありがとうございます‼